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「春日三番叟」という、小歌の作調を承りました。作調とはできあがった三味線の曲に囃子の手をつけることなんですね。西洋音楽の作曲と違って古典的な三味線音楽では、作曲は三味線の手と唄の節付けを担当しますが、その曲の打楽器の手は囃子方が、作曲者やクライアント(舞踊家とか役者さんとかですね)の意向を聴きながら、別に作るのが一般的なのであります。
作調の仕方は人によって千差万別なものですが、私の場合をお話ししましょう。
たいがいは譜面と一緒に音源が送られてきます。私はまず、なるべく歌詞カード(っていうかな…)と、お三味線の譜面をいただいてですね、読んでみることにしています。この時の印象が後々、作調の上での大きな方針になることが多いです。
今回の印象は、まず題名の「三番叟」から出てくるキーワードが「揉み出し」「三番地」「竹田拍子」「鈴」などなど。歌詞からはお三味線の譜面に書いてあるのを読んでみましたが、三番叟に定型の歌詞がちりばめられているものの、よく解らないので判断を保留。三味線の譜面からは先ほどのキーワードの他に「乱長地」が浮かんできました。
次に譜面を片手に音源を聴いてみます。で、その印象をメモ。これはスケッチをするようなものです。小歌の場合、短い演奏時間(今回は約6分)の中にいろんな要素が凝縮されていることが多いので、囃子方的にこだわって、あまり一つのモチーフに執着していると、おかしなことになっちゃいますから、それに気をつけて…
で、ラフな進行はだいたい下の様な感じでした。
揉み出し>三番地>付直シ三番地>乱長地>千歳の地>鈴
うーん、大小鼓のてばっかしになっちゃって、ちょっと太鼓っ気がほしい感じがしますですね。「鈴」に入りそうなところの直前に三番地のモチーフが出てきます。ちょっと強引ですがそこに「竹田」でも入れてみましょうか。
急いでる時はこれで細部を調整してツケにしてみるのですが、今回は時間があるのと、いただいた音源は最後の方が録音されていないことが判明しましたので、あとでお三味線を弾いてみることにいたしましょう。
とりあえず譜面を見ながらお三味線を弾いてみます。よく解らないところは音源を聴きなおしたりして、最後まで弾いてみるのであります。

送っていただいた譜面は一般的な文化譜でした。五線譜や研精会譜のような縦線がありませんでしたので、四分の二拍子ということにして、三味線を弾きながら鉛筆で縦線をひいていきます。これで拍が半端になる場所をチェックします。
囃子は三味線とは異なるリズム系で演奏していることが多いので、半端な拍がある時にそのまま演奏していると、表拍と裏拍がひっくり返ってしまったようになってしまいます。これはもちろん演奏していて、たぶん聴いていても辛いので、やはり半端なリズムをこさえて帳尻を合わせるのです(今回は2ヶ所ばかり、そういう場所がありましたです)。
気に入らない時はお三味線の譜面に直接、囃子の手を書いてみたりもして確かめながらある程度、構想が固まってきたらツケを書いてみます。いつもだとできあがりのレイアウトを考えるために、最初の下書きとして手書きで書いてみることが多いんですけど、今回は短い曲なので、いきなりワープロで作ってみました(ワープロでツケを書くのは最近のマイブーム)。
ワープロで作ってみたツケをプリントアウトして、デモの音源を流しながら、とりあえず記述ミスがないかチェックします。間違いや読みづらい箇所は赤ペンで記入して、あとでまとめて修正します。ワープロだと、この修正作業が楽。
この作業を数回、繰り返してですね、できあがったのがこれです。

この「春日三番叟」という曲は4月30日(月・振替休日)に目黒区邦楽大会(@めぐろパーシモンホール)にて演奏されます。